今日は前乗りで芽室に来てますが、
今回はB・Bコラムの再掲を
それではどうぞ!
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#9 チカラの源
(2004年8月4日)
8月になりました。長いシーズンもいよいよヤマ場にさしかかってきますが、僕達マスコットにとっては体力的に一番キツい季節の到来です。僕の場合も、8月は札幌ドームでの11試合の他、ビジター遠征やファームの試合・イベント出演などもあるので、ほぼ毎日試合や移動の繰り返しになりそうです。そこでよく聞かれるのが、「もしケガや病気になったりしたらどうするの?」って質問。「マスコットFAQ」の回でも「B・Bは1人だけです」って言いましたけど、万が一ケガや病気をしてしまったらどうするのか?誰かに代りにB・Bを演じてもらうことになるんでしょうか…?
いえいえ、そんなことは決してありません!もし仮にケガ・病気をしたとしても、よほどのことがない限り僕は自分でグラウンドに出ますよ!以前も言った通り、たとえ別の人に同じ着ぐるみを着せたとしても、それはただ外見が同じなだけの「ニセモノ」でしかないんです。例えばSHINJO選手や小笠原選手が故障で試合に出られなくなったからって、代りに「そっくりさん」を試合に出したりはしないでしょう?まぁ選手と直接比較するのは失礼だけど、次元の違いこそあれ、それと同じことだと僕は思ってます。例えば別の人がB・Bを演じたとして、グラウンドでいつもやってるパフォーマンスが突然出来なくなったり、スタンドで会った時にB・Bが何のリアクションも返してくれなくなっちゃったら、かえってファンに対して失礼だと思いませんか?だから、僕は例え骨折したとしても、松葉杖をついてでも出ます!って球団には言ってありますよ(笑)。それでも、もしどうしても僕が出られなくなったら…その場合はビジョンに「本日B・Bは○○のため欠場します。ゴメンナサイ!」ってテロップでも出してもらうようにお願いします…その方が、無理にニセモノを出すよりマシだと思いませんか?勿論、そんなことが起こらないよう、ケガや病気をしないように最大限努力するのが大前提ですが。
僕がここまで自分一人でやることにこだわるのには、それなりの理由があります。実を言うと、僕も最初から全試合ずっと出来た訳じゃなかった。その昔、僕がマスコットを始めた最初の年は、まだまだ実力がなかったこともあって全試合の約半分しか入れなかったんです。自分が球場にいないのに、そこでは何の問題もなく試合が進められている…当たり前の話だけど(笑)、自分にとってこんな寂しくて悔しいことはなかったですよ。仕事自体で辛いと思ったことは今まで一度もないけど、「仕事に入れない」「試合に出られない」ってことが何よりも辛かった。この辛さ・悔しさを身にしみて感じてからは、僕は何があっても1人でやり抜きたいと思うようになりました。マスコットを始めて3年目には、シーズン開幕直前にトレーニング中大ケガをして、歩くのさえ辛かったこともある。でも、自分が入れず他人に任せる辛さよりはマシだと思って、そのシーズンはボルタレンっていう強い痛み止めの薬を飲みながら何とか乗り切って、シーズン終了直後に手術を受けたこともあります。結構な劇薬を飲み続けたんで、シーズン中じんましんが出てきたりして大変でしたけど(笑)、今となっては誇りに思ってます。その手術の痕も自分にとっては一つの勲章になってますよ。
そりゃあ僕だって機械じゃないから、シーズン何十試合もやってると、確かに疲れていたり体調が良くない日もある。体だって毎日激しいアクションしてれば、あちこちボロボロです。でもね、そういう時にいつも思うのは、僕にとってはたとえシーズン何十試合ある中の一つであっても、球場に試合を見に来るお客さんにとっては、年に一度の「重大行事」かもしれない、ってことなんです。今までファンの方からもらった手紙やメールの中には、「毎年一度、遠い地方から家族揃って球場に応援しに行くのを楽しみにしています。子供達も指折り数えて待ってるんですよ」ってのもありました。もちろん野球観戦のメインは試合・選手だけど、せっかく遠くから楽しみに見に来てくれたのに、元気のないB・Bや手抜きしてるB・Bなんて見せるのは失礼でしょう?だから、たとえスタンドがガラガラであろうと消化試合であろうと、お客さんが1人でも見に来てくれている限り、僕はベストのパフォーマンスが見せられるようにいつでも全力で行くつもりでいます!B・Bは元気良く走り回ってナンボのキャラ。それが出来なくなった時は、選手同様引退すべきだと思ってますよ。
この仕事をしてるとよく、「夏場は辛いでしょう?」って聞かれます。でも、キツいのは体力的な点だけ。さっきも言った通り、仕事自体で辛いと思ったことはないですよ。そもそも好きで始めた仕事だし、毎日お客さんを笑顔にすることが出来て、自分のパフォーマンスひとつでスタンドを盛り上げることも出来る…こんな素晴らしい仕事ないです!最近ファンの方から、手紙や僕と一緒に写した写真をもらうことが結構あるんですけど、「B・Bに会うのが楽しみで球場に行くようになりました」なんて手紙をもらったりすると、最高に幸せですね。つくづくこの仕事をやってて良かったなと思いますよ月並みな表現で申し訳ないけど、どんなに疲れていても、ファンの皆さんの笑顔と声援、これが僕にとっては一番の「チカラの源」なんです!8月も引き続き、毎日元気なB・Bをお楽しみください!
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この文章久々に読み返したら
結構キワドいこと書いてあったりして
ちょっとビビりましたが
あえてそのまま出してます(笑)。
このコラムで僕が一番伝えたかったのは
「責任の果たし方」なのかな、
って今になると思いますね。
僕は、ただそこに「居る」だけじゃなく
「僕である」ことで
初めてファンの方々の期待に対して
責任を果たしたことになる、
そう思ってます。
(意味伝わるかなぁ?💦)
まぁ、世の中いろんな考え方の人いるから
この辺は今までホント何度も
意見がぶつかってきましたけどね
その度に「リスク管理」とか
「リスクヘッジ」とか
難しい言葉持ち出されるけど、
そもそも本当の「リスク」って何よ?
ってところから意見が噛み合わない💦
その度につくづく「ビジネス目線」と
「パフォーマー(現場)目線」って
交わらないモノだなぁ、って
感じてます(苦笑)。
皆さんも職場でそんな経験ありません?
僕はそういう議論になるのもシャクだから
文句を言わせないためにも
人一倍体調には気を遣ってきたけど、
お陰さまでメインでやってた14年間
試合やイベントの時熱出したり
仕事出来ないほど体調崩した時って
一度もなかったですね
ちなみに文中、「骨折しても松葉杖で出る」
って書いたけど、奇しくもこの2年後
骨折じゃなくて肉離れだけど
言った通りになっちゃった↑肉離れした翌日の写真です。
それでもいろんなことやったなぁ…。(炭谷選手、その節は
付き合わせちゃってゴメンなさい…)
コレで証明した通り、
必ずしも五体満足な状態でなくても
ファンを楽しませる術はいろいろある。
今はコロナの問題とかもあるから
「這ってでも出ます!」で
通用しない部分もあるけど💦
その分時代も進化して、
オンラインとかもありますしね
リスクはただ避けてればいいモノじゃなくて、
そこから新しいチャンスが生まれる
きっかけになったりもする。
全ては発想次第ですよね。
ちょっと話がそれ気味ですが
僕の一番の「チカラの源」は
皆さんの笑顔と声援であることは
今も全く変わってないです
このコラム書いた頃の写真見返してたら
ちょうどこの内容にふさわしいのを
何枚か見付けたんで、
最後にそれを置いていきますね