B・Bコラム#22 日本一のパートナー

カテゴリ/B・Bコラム

まずは業務連絡を。

昨日お知らせしたF FESのグリですが、

やっぱり事前情報知りたいという方多いんで、

時間や場所は(ざっくりだとは思うけど)

分かり次第改めてお知らせしようと思います

続報をお待ちください

 

ではまたコラムの再掲いきますね。

今回は「アテンド」のあり方について、

僕なりの考えを。

それではどーぞ!

*******************************************

#22 日本一のパートナー

(2005年9月6日)

↑このタイトル見て、皆さん何を想像しましたか?いや、別に僕に相方が出来た訳じゃないですよ(笑)。僕は今まで通り、当分の間マスコットとしての相方を作るつもりはありません。でも実は、僕にはマスコット活動をする上で欠かせない大切な「パートナー」がいつも一緒にいるんです。

…ここまで読んでピンと来たら、よっぽどマスコットに対して理解のある方か、いつも球場で僕らに会いに来てくれてる方かな?(笑)…そう、今回お話ししようと思うのは、僕達にいつも付き添ってくれている「アテンド」の重要性についてです。このコラムではマスコットについて色々と語ってきたけど、僕達が気持ち良く仕事をするために、アテンドは絶対に必要不可欠。マスコットの本質を語る上では、避けて通れない存在なんです!

 

「アテンド」――英語的に言うと、正しくは「アテンダント」(”attendant”「付き添い人・世話人」の意味)ですね。長いんで僕はいつも「アテンド」と言ってますが。僕がグリーティングなどでファンの皆さんとふれ合いの場に出る時、僕の横に必ず「B・B STAFF」と背中に入ったユニフォームを着て付き添っている、彼女のことです。

まず、彼女が何者なのかよく分かってない方も多いと思うので説明しときますね。ファンの中には彼女のことを球団の広報だとか思ってる方もいるみたいだけど、違います。手の空いた球団職員が片手間でやってる訳でもありません。彼女は、僕のアテンドとして専属でお願いしているスタッフです。(注:アテンドの雇用形態は各球団によって違います)

僕が去年、ファイターズのマスコットとして本格的に活動を始めた時、このアテンドの人選にはかなりこだわりました。マスコット本人はともかく、アテンドの重要性まではなかなか気付いてもらえないんですよね。でも、「適当なバイトにでもやらせとけ」では絶対にダメ。アテンドはマスコット本人と同じく、絶対にバイト感覚で務まる仕事ではないんです。だから球団にはその辺のことを説いて、アテンドは僕が自分で選ばせてもらいました。そして何人かの候補に実際にやってもらって、その中から最終的に1人残ったのが、いま道内の試合やイベントでいつも付き添ってくれている彼女なんです。肩書だけを見れば、彼女は正式な球団職員ではないけれど、彼女はアテンドとしてはプロ中のプロだと僕は思ってますね

 

アテンドの仕事は多岐にわたります。皆さんがよく目にするグリーティングの場での人の整理や誘導、写真撮影の手伝いなどはもちろんのこと、目に見えない舞台裏でも色々と僕の仕事を手伝ってもらってるんですよ。例えばバズーカで撃っているTシャツの「弾」を作ったり、僕に時間や試合経過を教えてくれたり、パフォーマンスに使う道具を用意してくれたり、飲み物を用意してくれたり、ファンからもらった手紙やプレゼントを預かってもらったり…。ただ、こういった内容だけだったら、そんなに難しい仕事のように思えないかもしれない。じゃあ何故、僕がアテンドにそこまでのプロ意識を求めているのか?

僕が思うに、アテンドの役割というのは、ただマスコットの横に付き添って突っ立ってるだけの存在じゃあないんですよねアテンドというのは、言うなればマスコットとファンとの間の「心の橋渡し役」だと僕は思っていますマスコットは口がきけない。表情も変わらない。もちろん僕達はその分ジェスチャーで精一杯ハートを伝えようとしてるし、不思議なことにそれによって表情だって色々と変化して見えるモノなんです。ただ、どうしてもそういったボディーランゲージには限界があり、特にマスコット達との「会話」に慣れてない人達には伝わらない場面も多い。そういった時こそアテンドの出番なんです!僕達の代わりに、アテンドに僕達の目となり、耳となり、口となり、そして手足となってもらう。自分のハートを代弁してくれる人が誰でもいいなんて、皆さんだって思わないでしょう?だから僕は、これほど重要なポジションはないと思うくらい重要視してるんです。極端な話、マスコットを活かすも殺すもアテンド次第だと思ってるぐらいなんですよ。

 

実を言えば、僕だって最初からアテンドがこんなに重要だと分かっていた訳ではなかった。でも、僕がファイターズに来るずっと前、ある人にアテンドの存在がマスコットにとってどれだけ大切なのかを気付かせてもらったんですね。だから最初僕がファイターズに来てアテンドを採用した時、彼女達にはその教訓を元に、僕なりの「アテンドの心得」をいくつかしっかりと伝授しました。

まず最重要事項が、ファンへの積極的な声掛け僕にとって一番やりづらいのは、アテンドが何も言わずにただ脇にボーッと突っ立っていることなんですよ。アテンドが黙りこくって何となく暗ーい雰囲気で隣に立ってたら、一緒にいるマスコットまで暗ーく見えてしまいかねない逆に「こんにちは!」「B・Bです。よろしく~!」といった感じで不自然でない程度に明るくファンに声を掛けてもらったり、時には仕事に支障を来たさない範囲内で気さくに会話してもらえば、雰囲気だって華やぐし、ファンも親しみがわいて近寄りやすくなると思うんです。アテンドは能力さえあれば男性でも女性でも別に構わないんですが、女性を採用したのはこの辺が一番の理由ですね。その方がより柔らかい雰囲気が出るかな、っていう。

それから重要な役目として、写真撮影などの手伝い方も指導しました。マスコットに会いに来るファンの中には、1人で来てるんだけどマスコットと一緒に写真を撮りたい…とか、家族やグループ全員で写真を撮ってほしい…とか、人によって色々ある訳ですよ。でも、その辺の見ず知らずの人に「すいません…撮ってもらえますか?」と聞くのはとっても恥ずかしいモノ。誰だってそんな経験したことはあるでしょう?そんな時にアテンドがサッとタイミング良く「一緒にお撮りしましょうか?」と声を掛けてほしいんですね。ただこれにもコツがあって、時にはそうやってやたらと声を掛けられるのを嫌がる人もいる。声を掛けるべき場合とそうでない場合の「空気」を読む勘の鋭さも、アテンドの才能の一つと言えるでしょうね。

言葉は良くないけど、ファンの「さばき方」もアテンドの腕前の見せ所どんなに球場が混んでいて沢山の人に対応しなければならない時でも、僕はポリシーとして「回転」を良くするためだけの機械的なグリーティングは絶対にしたくないと思ってる。だから、写真撮影や握手だけして「ハイ、次!」「ハイ、次!」みたいな対応にならないように、僕も彼女もお互いに気を付けてます。たとえ一人ひとりにじっくりと時間を掛けられなくても、何でも良いから笑顔で出来るだけ声を掛けてあげる。そういったファンとの「個別の会話」はホント重要ですよ。短い時間でもそうやって楽しい思い出を作ってもらえれば、ファンは一層マスコットに親しみを感じ、「また会いたい」って気持ちになってくれる。それがいわゆる「リピーター」につながってくと思うんですよね。

それと、アテンドには目を2つだけじゃなく、3つも4つも持っててほしいと思ってますね(笑)。土日や夏休み期間中の試合などでは特に、僕の前には写真撮影やサインなどを求めて長蛇の列が出来る。それを上手く整理し、写真撮影の手伝いなどもしながら、常に僕の背後にも目を光らせておかなければならないんです。マスコットに対してイタズラをする人間は、必ずと言っていいほど背後から来ますから。そして、マスコットに対してそういった悪質なイタズラや嫌がらせ、失礼な言動をしてくる人に対しては、毅然とした態度で厳しく対処するよう僕はアテンドにお願いしています。いくらお金を払って見に来てる「お客様」だからと言って、人として最低限のマナーは守ってもらわないと僕達の安全まで脅かされる。だけど、僕達マスコットには「キャラクターイメージ」というものがあるので、例えどんな相手にでもあからさまに抵抗することはなかなか難しいんですよ。それに、怒った態度を見せたところで、悲しいかな顔はいつも笑っているので、相手にその気持ちが伝わらないことが結構あるんですよね(苦笑)。だから、そんな時にはあえてアテンドに「悪役」になってもらって、代わりに厳しく叱責してもらう必要があるんです。時には彼女自身がそんな人にカラまれて、嫌な思いや危険な思いをすることだってある…アテンドだってツラいんですよ!

 

どんな仕事でも向き不向きがあるように、僕はアテンドにも技量や才能が大いに必要だと思ってます。アテンドの才能とは何か?僕が思うに、まず社交性や人とのコミュニケーション能力、そして場の空気を読んだり、仕事の先々まで読んで僕達のカユいところに手の届く気遣いやカンの鋭さとかだと思いますね。これは、タレントのマネージャーさんなんかにも通じるところが多々あるんじゃないかな?だからアテンドの技量を見れば、ある意味マスコット本人の意識レベルやその球団のマスコットに対する理解度が自ずと見えてくると言っても過言ではない、と僕は思いますよ。

その点、僕は今アテンドをしてくれている彼女の働きぶりには十二分に満足しています。自分で言うのもナンだけど、今のB・B人気を支えているのは彼女の力もかなり大きい。毎試合球場でファンに接してると、自然といつも僕に会いにきてくれる「常連さん」と顔見知りになってくるんだけど、彼女、僕なんかよりもずっとファンの名前と顔を覚えてますから(笑)。だけどそこには、彼女の目に見えない努力があるんですよね。実は彼女、いつも手帳を持ち歩いてて、控室でよくそれに一生懸命何かを書き込んでるんですよ。何書いてるのかイチイチ聞くのもヤボなんで聞かなかったけど、ある日控室で偶然その手帳の中身が目に入った時がありましてね…そこには今まで会ったファンの名前や特徴がビッシリと書かれてあった。次に会った時に忘れないようにするためですよ。それを見た時、あぁ彼女がB・Bのアテンドでいてくれて良かった…とつくづく実感しましたね。マスコットという特殊な職業柄、なかなか他人には言えない相談ごとなんかも彼女にだったら言えるし、時には僕の愚痴も聞いてくれる(笑)。彼女は間違いなくB・Bの一番の理解者であり、日本一のアテンドだと僕は信じてます。だから本当のことを言えば、僕が日本全国どこへ行った時でも同一人物にアテンドをしてもらいたいんですよね。実際には色々と大人の事情で、道外に出張する時には違う人に頼まざるを得ないのが現状なんですが…(但し、少なくとも東京近辺の試合の時は、ちゃんと僕の信用出来るスタッフにアテンドを頼んでますけどね)。

 

どうですか?マスコットにとってアテンドが如何に重要か、ちょっとは分かっていただけたでしょうか?どんな仕事でも周囲の支えなしでは成り立たないものだけど、僕はこういったスタッフに支えられて仕事が出来て幸せだと思ってます。ただ最近はちょっと困ったこともありましてねー…。時たま彼女に対して「一緒に写真撮らせてください」とか「サイン下さい」なんて言ってくる人がいるんですよ💦B・Bとアテンドの写真とか、B・B・アテンド・自分の3ショットとかならまだ分かるんだけど、自分とアテンドの2ショットやサインとか求めて来るのはご遠慮くださいね。こう言ったら語弊があるかもしれないけど、アテンドの本分はあくまでも「黒子」役それを逸脱させてしまうのは、僕に対しても彼女本人に対しても失礼です。今度マスコットに会う機会があったら、皆さんもそれを踏まえた上で、是非アテンドの働きぶりにも注目してください!そして、心の中でそっと彼女達をねぎらってあげてくださいね。

*******************************************

このコラムも書いてから18年が経って

今は時代も環境もだいぶ変わっちゃったけど、

ことアテンドの重要性に関しては

僕の考えは今でも一切変わってないですね

一方、時代の変化とともに

アテンドに求められる役割やスタンスが

変化してる部分があるのも事実。

その辺についてはこのあとがきに

書こうとも思ったんだけど、

たぶんコラムもう1回分くらいの

長さになっちゃうと思うんで💦

次回あたり「続編」として書こうかな、

と思ってます

 

ところでこのコラムに書いた「彼女」とは

実質的な「初代B・Bアテンド」

女性のことなんだけど、

アテンドって基本「写真を撮る側」だから

写真になかなか残ってないんですよね

でもこのコラムを書いた2005年9月の

写真を見返してたら、

奇跡的にこんな写真が残ってました↓そう、この「彼女」のことです

ここしばらく連絡取れてないけど、

今でも元気にしてるかなぁ?

彼女に限らず、その後務めてくれた

歴代アテンドの「彼女達」もみんな

本当によく頑張ってくれたと思う。

改めて、心から感謝したいと思います