B・Bコラム#21 真夏の夜の夢

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今日もコラムの再掲です!

今回はオールスターのお話を

それでは早速どうぞ!

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#21 真夏の夜の夢

(2005年8月10日)

巷では夏真っ盛りだというのに、何だか最近ちょっと寂しいんですよねー。…と言うのも、ひとつにはファイターズが元気ないのも大きな理由なんですが、僕にとっての今シーズン最大の「ヤマ場」が終わってしまったからなんですよ…。「ヤマ場」とは他でもない、7月22・23日に行われたオールスター戦のことなんです。

今年のオールスターは、実に4年振りに12球団のマスコット全員集合が実現しました(全員とは言っても、各球団メインキャラのみでしたが)。しかも、22日のインボイス西武ドーム・23日の甲子園と、2戦連続で出演できたのは今回が史上初!これも、世間一般のマスコットに対する認知度がアップしたおかげなんでしょうかね?

前にもオールスターで集まる時があったことはあったけど、今回の全員集合は今までと一味違った感触がありましたね。僕達マスコットを取り巻く環境が、ちょっとずつ良い方向に変わってきたと言うかそこで、今回はオールスターの報告を。

 

7月22日昼前、オールスター第1戦の行われるインボイス西武ドームの控室に僕達は集結しました。試合はナイターだけど、僕達が参加するセレモニーのリハーサルは選手が練習を始める前、グラウンドが空いているうちに済ませておかないといけないんで、こんな早い時間に集まらなきゃならないんです。

僕だけかもしれないけど、こういう「全員集合」の場で控室入りする時って、一種独特の気持ちがありまして。久々にみんなが集まれるワクワク感と、「他のマスコットには負けられない!」って緊張感と。オールスターに出る選手達もこんな気持ちなのかな?でも、控室はある意味同窓会みたいな雰囲気でもありますね。特に今年はその前の交流戦期間中、マスコット交流も色んな球団で盛んに行われたのが僕達にとっても本当に大きかった。交流戦で仲良くなった他球団のマスコットも多くて、最初からある程度みんなが打ち解けた状態で始められたんで、控室も和気あいあいとしてたし、グラウンドでのパフォーマンスも事前にネタ合わせなんかがしやすかったです。

さて、リハを終えてしばしの待機時間の後、夕方からいよいよ本番。気合い入りましたねー。

僕らの一番の「見せ場」は試合前セレモニーの中のほんの一瞬、各球団のマスコットが1人ずつアナウンスで紹介されて、台本曰く「各自得意のパフォーマンスを披露」って部分ぐらいしかないんです。このわずか数秒の間に一番効果的にアピールしようと思ったら、やっぱりアクロバットぐらいしかない。でもアクロバットするマスコットは他にもいるんで、どこかで差別化を図りたい。という事で、僕は自分の出来る技で一番難度の高い「宙返り捻り」をすることに(別にオリンピックじゃないし、前からコラムでも言ってる通り、アクロバット出来りゃ優秀なマスコット、って訳じゃ決してないんですけどね)。捻りは調子が悪いとたまに着地失敗することがあるんだけど、超満員の観客、特にB・Bを初めて見るような他球団のファンの前で無様なマネは見せたくないんで、プレッシャー大きかったですよ💦でもこの緊張感、何度プレッシャーで押し潰されそうになるような思いを経験しても、逆に快感でヤメられないんですよね~。で、「捻り」の結果は見事成功!会心の一発でした

プレッシャーから解き放たれたら、あとはリラックスして暴れるのみ(笑)。その後は選手入場やチアガールを加えてのダンス…とセレモニーは続いてったんだけど、僕はその最中どうやってハミ出して目立ってやろうかばっかり考えてました。オールスターと言ったら、僕にとってもある意味「戦いの場」、目立ったモン勝ちなんです。「こんなコトしちゃって大丈夫かな?」なんてイチイチ遠慮して周りをうかがってたら、他のマスコットにオイシイ所を全部持ってかれちゃう。僕は今までそんな悔しい思いしたことが何度もありましてね。リハやってる最中とかも、他のマスコットの行動見てるとわかるんですよ。「あ、アイツあんなことしようとしてるな」とか。台本で指示された通りの動きしか出来ないようでは、12人もマスコットがいる中でスタンドのファンから目を向けてもらえない。逆にこういう所でしっかりアピールしておけば、今まで僕のことをよく知らなかった他チーム(特にセ・リーグ)のファンからも、「アイツはスゴい!」と思ってもらえるかもしれない。だからこっちも必死ですよ。但し、もちろん個人プレーに走ってばっかりいてもダメ。最低限の決まりごとはちゃんと守って、みんなでビシッとキメる所はキメなきゃならない。でもご心配なく!みんな日頃からファンの前でパフォーマンス慣れしてるから、合わせるべき所と個人プレーでアピールすべき所くらいはちゃんと心得てるんですよね。球場にいた人は見ててわかったと思うけど、特にパ・リーグのマスコットはチームワーク抜群だったでしょ?

さて、西武ドームでは試合前の他、7回にもマスコット全員で登場して出番は終了。その時点で夜の9時ぐらいになってました。僕達は翌日の出番に備えて、甲子園に送る荷物を慌しくまとめると、みんなで一緒に東京駅まで電車移動(笑)。結局東京駅近くのホテルに着いたのが深夜11時半ぐらいでした。で、翌朝は5時半起きでまた大阪まで新幹線移動…前夜所沢から東京に向かう電車の中ではみんな元気だったけど、さすがに新幹線ではみんな疲れて眠ってましたね💦

甲子園には朝11時前に到着。前日と同じく、選手の練習が始まる前にグラウンドでリハーサルです。甲子園には1ヶ月前の交流戦の時にも行ったけど、リハの最中「聖地」と呼ばれる球場をグラウンドからじっくりと見渡すと、やっぱり感慨深いものがありましたね。しかし、真っ昼間の甲子園はとにかく暑かった!真夏の炎天下で熱闘を繰り広げる高校球児達は本当エラいと思いましたよ。

リハが終了後は、せっかくの機会なんでグラウンドで12球団マスコット全員の記念撮影。B・Bギャラリーにアップしてある写真はこの時のモノです。今まで全員集まってもなかなかこういう写真撮る機会ってなかったんで貴重なショットになったと思うけど、いかがですか?

そして試合本番。甲子園の第2戦では、試合前セレモニーの他5回終了後にも僕達が出てスタンドへプレゼントの投げ込みをしました。セレモニーの内容は第1戦と基本的には大差なかったんで省きますが、さすが甲子園だけあってトラッキーのパフォーマンスに対しての声援は大きかったですね。でも僕も6月に交流戦で甲子園に行ったおかげか、「B・B!」って名前呼んでくれるファンも結構いて嬉しかったです

で、5回で出番が終わると、僕達は場所を移して「第1回12球団マスコット担当者会議」へ。えー…別名飲み会とも言いますが(笑)。とにかく、みんなが集まるこんな機会は滅多にないし、もっと親交を深めて色んな話をしようよ、って趣旨でして。

「マスコットって、横のつながりはあるの?」ってよく聞かれることがあるんだけど、マスコット同士の横のつながりって、今までは皆さんが思うほど強くなかったと思うんですよね。今まではオールスターとかで集まっても、出番が終わったらそこで解散、後は仲の良い者で…って感じで、よく交流を行うチームのマスコット同士で個人的な付き合いがある程度だったと思いますよ。球団内で置かれた立場や環境もそれぞれ全然違うし、ましてやみんなが集まって「マスコット界」の今後について話し合う機会なんてなかった。だから、今回みんなでこうやって集まってじっくり話をする場が出来たってのはホント画期的だったと思います。まぁ、「会議」なんて堅苦しいモノじゃ全然なかったですけど(フツーの「打ち上げ」をイメージしてください)、マスコット本人や球団職員の方同士、今までよりもずっと結束が強まったと思います。

 

そんな感じで、結構な強行日程にはなったけど、なかなか楽しくて充実した時を過ごせた2日間でした。もちろん今後も、毎年こうやって全員が集まれる機会が続いてほしい。そうすれば僕達マスコット同士の絆も一層深まるし、何よりも見ているファンにだって楽しんでもらえる。Jリーグなんか、毎年オールスターで必ずマスコットが全員集合してますしね。

ただ、今年はみんなが集まれただけで良しとしたいけど、まだまだ改善の余地はある。今回のオールスターで改めて感じたのは、「マスコットって、まだ単なる『添え物』程度にしか思われてないのかな?」ってこと。イベント主催者がマスコットの本当の魅力を理解してくれていれば、セレモニーでのマスコットの見せ所だってもっとずっと面白く出来るはず。今回の様に「得意のパフォーマンスを披露してください」みたいに簡単に言われても、わずか数秒間で出来ることなんてごく限られてるし、アクロバット以外でアピールしたいキャラだっている訳ですよ。それならば、例えばリレーなりスピードガン対決なりホームラン競争なり綱引きなり、セパのマスコットで対抗戦をするとか、全キャラが平等に引き立ってファンも盛り上がる方法はいくらでもある。実際Jリーグのオールスターでは、マスコットがPK対決とかやってますし。あくまでも主役は選手だってことぐらい、僕らちゃんとわかってますし、セレモニーのスケジュールが秒単位でビッチリ組まれてるのもわかるけど、せっかく経費かけて全国各地からマスコットを集合させてるんですからねー、それぐらいのことやらないともったいないですよ、ホント。

あと言いたいのは、せっかくマスコットが集まってるのに、マスコミへの露出がほとんど皆無ですよね…。TV中継では僕らの出番はCMやインタビューでカットされてしまうし、新聞や雑誌で取り上げられてるのも見たことない。結局マスコット全員集合の様子を拝めた人は、球場に生で見に来た人くらい。「もっとマスコットの姿も見たかった」って人、絶対たくさんいるハズですよ!テレビ局含め、マスコミの方にはぜひその辺も一考をお願いしたいですね。

それともうひとつ、出来ればフィールド上でのパフォーマンスだけではなく、全マスコットと球場に来たファンが写真撮影したり出来るグリーティングの場も設けられればいいな、と個人的には思います。いつも言ってるように、マスコットの基本はパフォーマンス+ファンサービスだと思いますから。普通の公式戦なら滅多に会えないマスコットと直接ふれ合えたら、ファンにとってはこんな嬉しいことないですよね?

あくまでもこういった企画を考えたりするのは、中継を担当するテレビ局だったりするから、僕がどうこう言える問題じゃないかもしれないけど、もし何年か後にファイターズ主催で札幌ドームでオールスターが行われたら、出来ることなら僕もそういう企画作りに参加させてもらいたいですね。ことマスコットの部分に関しては、絶対見てるお客さんに楽しんでもらえる内容にする自信はあります!あと、経費の問題で難しいかもしれないけど、各球団のメインキャラのみではなく、サブキャラも含めた全マスコットの集合とか実現出来たらスゴいですね。今年の時点で、サブキャラ含めるとプロ野球全体でパ21・セ17の計38体のマスコットがいますからねー、きっと壮観ですよ(笑)。夢物語みたいに聞こえるかもしれないけど、以前メジャーリーグの中継でそういった風景を見たことがあります(しかも、アメフト・バスケ・アイスホッケーなど他スポーツのマスコットまで参加してました!)。いつか実現出来たら嬉しいですね~。

 

来年のオールスター開催地は、神宮と宮崎。マスコット集合の有無は、中継担当テレビ局の判断の他、球場のバックスペースの確保や主催球団のマスコットに対する理解など、色んな条件も絡んできます。さて、来年も「真夏の夜の夢」は実現するんでしょうか?マスコットファンの皆さんも、僕らと一緒に祈っといてください

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この2005年は、前年の球界再編騒動を受けて

セパ交流戦の始まった年ですが、

オールスターのマスコット集合の実現も

その影響は少なからずあったと思いますね

結局その後、コロナ禍の2年間を除いて

マスコット集合は毎年続いてる訳だけど、

記念すべきその初年度ということで、

その喜びと興奮度合が

文面から伝わってきます

 

僕はフレップの代打で出た2019年も含め

計14回出場したことになるけど、

オールスター出場14回って

選手で言ったら結構な数字ですよね(笑)。

何度回を重ねても変わらない、

始まる前の緊張やワクワクした気持ち、

移動の時のドタバタ、

そして終わった後のどことなく寂しい気持ち…

すべて懐かしい思い出です

今はマスコット集合も珍しくなくなったけど、

まだマスコット交流も黎明期で

マスコット同士の横の繋がりも

今ほど強固じゃなかった頃、

こういう集いの場が出来たのは

本当に嬉しかったし、楽しかったなぁ…

 

ところで文末に書いた、僕が感じた

オールスターでの諸々の課題。

あれから18年経って、進化した部分より

「あんまり変わってないな~」って

思うことの方が正直多いですね💦

この辺は書くと長くなるんで

今回は詳しく触れないけど、後々

僕がマスコット関連の演出を担当した

札幌ドームでのオールスターでは、

しっかり活かさせてもらってます。

どんな感じだったかご存じない方は、

「オールスター マスコット 2009」

「オールスター マスコット 2013」

でぜひ一度動画検索してみてくださいね