では今年もコラム再掲まいります!
今回は「異種目マスコット交流」の話。
それではどうぞ!
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#54 サッカーとの共生
(2008年5月27日)
すっかり報告が遅くなっちゃったけど、先月初めてJリーグ・コンサドーレ札幌のマスコット「ドーレくん」とのマスコット交流がありました。ドーレくんとは以前も地元のイベントで何度も一緒にやってるし、よく会ってお互いいろんな話をしたりする仲なんで、「初めて」と言うのもなんかちょっと違和感あるんですけどね(笑)。
これまでも、ドーレくんとは「イベントだけじゃなくて、試合で共演したいよね」とはずっと話をしてたんです。それがなかなか互いのスケジュールが合わなかったり、諸々の事情で先延ばしになっていたんだけど、「今年こそはやらなきゃ!」とお互いに前々から話をして、やっと実現にこぎつけました。
まずは4月2日、僕がお先にコンサドーレの試合へ。
いつも慣れてるはずの札幌ドームなのに、サッカーの試合の時は雰囲気がいつもと全く違う。札幌ドームはサッカーの時、屋外から天然芝のピッチをドーム内に入れるんですけど、屋内でも芝が緑を保つように、場内には適度な風が送り込まれているんですよね。だから、ドームの中に芝の良い匂いがそこはかとなく漂っている。それから、スタンドの座席も野球モードの時から90°くらい移動するので、サポーターが一番盛り上がるホーム側ゴール裏部分(野球で言えば応援団のいる外野席にあたります)が、野球モードの時の三塁後方~レフトポール際あたりに来る。
大げさではなく、一瞬「ここって野球の時どのへんの位置だったっけ?」って、わかんなくなるんですよ(笑)。なんだかフシギな感覚でしたね。
ドーレくんはダンスが得意なマスコット。今回の見せ場として、ドーレくんやコンサドーレのチア「コンサドールズ」と一緒にダンスのパフォーマンスをしてほしい、ということで振付を用意してもらったんですけど、なかなか合わせる時間が取れなくて…結局試合前夜に集中的に練習をして、正に「一夜漬け」でなんとか完成させました💦

試合当日もかなり早くからドームに入って、ダンスも含め試合前セレモニーのリハーサルを結構入念にやりました。野球の場合は選手がずっとバッティング練習をしてるんで、相当早い時間じゃないとグラウンドは使えないんだけど、サッカーの場合選手がグラウンド入りするのは試合開始近くなんで、開場直前までリハが可能なんですね。これもちょっと意外でした。
さて、開場後は実際にお客さん達とのふれ合いです。実を言えば、最初サポーターの人達からどういったリアクションが返ってくるのか、ちょっと不安だったんですよね…。野球のマスコット交流でビジター球場に出向いたことは何度もあるんで、そういった時のファンの反応はわかるんですが…。サッカーファンの中には一部野球を快く思っていない人もいるような噂も(真偽のほどは定かではないけど)耳にしたことがありましたし、ちゃんと受け入れてもらえるんだろうか…?って不安は正直ありました。
でも、実際やってみると全くの杞憂でしたね。コンサドーレのサポーターの方々には最初から温かく接してもらえました。
ただ何て言うか、いつもとちょっと違ったのは、それなりにファンに囲まれはするんだけど、野球の時と比べて「一緒に写真撮らせて!」とストレートに言ってくる人が少なかったような…。微妙な距離を置いて周りから写真を撮ってる人が多いように感じたのは、僕に会うのが初めてという戸惑いもあったんでしょうか?その点、ある意味ビジターで訪れる球場の反応と似てる気もして、札幌ドームでビジター気分という、ちょっと不思議な感覚に襲われました。
続いては4月20日の対ソフトバンク戦。今度はドーレくんがファイターズの試合に来てもらう番です。
僕の場合グリーティングは長いし、とにかく試合前から終了後までほとんど休みなしで出づっぱり状態が続きます。そのうえ、グラウンドでの出番では毎回内野から外野まで片道約100mの往復ダッシュが入るんで(笑)体力的にはかなり過酷なんですけど、ドーレくんは全て一緒に付き合って頑張ってくれました。

普通野球チーム同士のマスコット交流だと、敵味方に分かれなきゃならない部分てあるじゃないですか?試合前のスタメン発表とかラッキーセブンとか、どちらかが勝った試合後とか…。でも、今回は全て一緒にファイターズを応援、っていうのも、なんかいつものマスコット交流と違って新鮮な感じでしたよ。
試合中にドーレくんと話してたんだけど、実際こうやって試合で交流してみると、野球とサッカーの違いをいろいろ実感しますね。まず大きく違うのは出番の機会。サッカーの場合、マスコットの出番は基本的に試合前・ハーフタイム・試合後のみで、試合進行中にパフォーマンスをしたり、スタンドやコンコースにグリーティングに出ることはあまりないようです。それはある意味必然的なことで、サッカーの場合試合中ほとんどの観客は試合そのものに「集中」しているので、コンコースはほぼガラガラの状態。だからと言ってあんまりスタンド内を歩き回れるような雰囲気でもないので、基本的に前半・後半の試合進行中は、マスコットは控室で待機せざるを得ない状況になるんです。それに比べて野球の場合、攻撃と守備が交互に入れ替わるので、試合中でもコンコースに人はそこそこいる。試合進行中も、主に内野席方面では結構まったりと観戦している人が多いので、スタンド内を歩き回ることも可能なんですね。そしてイニング間にちょっとしたパフォーマンスをすることもできるので、マスコットはそれだけ出番を多く得ることができるんです。
試合時間にもだいぶ違いがあります。野球は大体1試合3時間前後が相場だけど、場合によっては5時間かかることも、2時間で終わることもある。延長戦に突入すれば、いつサヨナラで試合が突然終了するかわからないから、僕らはいつ来るかわからない出番に、常に備えてなければならない。一方サッカーの試合は時間制で、現在Jリーグのリーグ戦では延長戦はないから、ハーフタイム込みで約2時間で試合が終了。出番もある程度計算できるわけです。
実際やってみて、サッカーファンと野球ファンの気質の違いみたいなものも感じましたね。サッカーファンは、野球ファンよりも試合そのものにより集中している人が多い印象を受けました。一方野球ファンは場内演出なども含め、試合以外のいろんな楽しみも求めて家族連れや子供連れ、それから女性だけで来る人が多いような気がします(これはあくまで僕の私見なんで、違ってたらゴメンナサイ)。
プロ野球とJリーグ、なかなかマスコット同士の交流の機会はないけれど、時々連絡を取り合っている仲間は何人かいます。一番交流が多いのは言うまでもなくドーレくん。彼もたくさん地域イベント、幼稚園・保育園訪問…と精力的に活動しています。彼はまた、毎夏渡米して「マスコットキャンプ」的な合宿にも参加しているとのこと。アメリカにはこういったマスコットスクール的なものがあるんだけど、一体どんなことを学ぶのか、そもそもマスコットという職種は学校で学べるものなのか──いろんな疑問や興味は尽きないところなんで、土産話を聞いたりもしました。同じ北海道をホームとするマスコット同士、お互いの動向は気になるし、ドーレくんの積極性には大いに刺激を受けてますね。
それからもう一人特筆すべきなのは、清水エスパルスの「パルちゃん」。彼はものすごく「ハート」のあるマスコットです。ここで書いてしまうのはもったいないので(笑)また別の機会にコラム1回分丸々使って語りたいと思うくらい、彼の姿勢については特筆に値しますね。彼はサッカーや野球も含め、全マスコットの中で僕が最もリスペクトするマスコットの一人です。
そんな具合で、サッカーの世界にも頑張ってる素晴らしいマスコットは何人もいます。しかし残念ながら、Jリーグマスコットの置かれている環境や位置付けは、現時点で全般的にプロ野球に比べて高いとは言えないようです。マスコットが活動していくための環境がまだまだ整備されていないと言うか…。ファンからの愛され方や認知度は、プロ野球マスコットにひけをとらないだけのものはあるんですよ。だから、頑張ってる彼らのためにも、そしてファンのためにも、クラブ(球団)側にはもっともっとマスコットの重要性に対する理解がほしいと思いますね。
野球とサッカーは、お互い相反するもののように思う人もいるかもしれないけど、どちらも応援してもらって全然構わないと思うんですよね。例えば、アメリカはアメフト・バスケ・野球・アイスホッケーという4大スポーツがあるけど、それぞれのシーズンが上手い具合にズレている。だから、ファンも1年中いろんなスポーツを応援しながら楽しめるんです。それに、アメリカの子どもは学生時代いろんなスポーツをして、その中で自分に向いているスポーツ・好きなスポーツを選んでいくという手法を取っている人も多い。だから、日本ではまず考えられないことなんだけど、中には野球とアメフト両方でプロとして活躍する選手も出てきたりするんですよね。日本ではこの点、子どもの頃から部活なんかで一つの競技だけに縛られたり、プロ野球とJリーグのシーズンがほぼ重なってしまうという、選択肢を広げるには不利な状況は色々とあるんですが…。でも、娯楽がたくさん増えたこの時代、一つのスポーツだけにしか興味を持たないのって、損だと思いませんか?野球も楽しみ、サッカーも応援する──こんな人達が一人でも増えてくれれば、今回の僕達のマスコット交流も、やった甲斐があるというものなんですが…。
今年のドーレくんとのマスコット交流は、お互いがより刺激を受け、双方のファンにもファイターズとコンサドーレをアピールできたという点では、まずまず成功だったと思っています。ドーレくんとは「今後もぜひ続けようね!」と話してますし。ただ、今年はまだ「手始め」という感じですか。今後はできれば、双方のチアも含めて交流したり、例えば去年横浜ベイスターズ・横浜Fマリノス・千葉ロッテマリーンズ・ジェフ千葉の4チームが「湾岸対決」と銘打って、マスコット交流も含めた大掛かりな共同企画を行ったみたいに、もっともっと発展させていければ理想的です。
それから最後にもうひとつ!今年は交流をした野球・サッカーの2試合とも残念ながら負けてしまったので、次回はぜひ勝って、勝利の喜びを共に分かち合いたいモノです![]()
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あ、最初に言っときますが
「ドーレ君」って書いたら
モグリだって思われますからね!
正しくは「ドーレくん」。
そこんとこお間違いなきよう![]()
…で、ドーレくんとは最初の年から
結構イベントで共演してたんで、
ちゃんとしたマスコット交流が
この2008年が最初だったっていうのが
なんか意外でしたね💦
メイン卒業して他チームマスコットとの
共演機会はなくなっちゃったけど、
道内プロスポーツチーム、
いわゆる「4プロ」マスコットとの
共演機会はまだたまにあるんで
ドーレくんとも年に何度か共演しますが、
パフォーマンスとか所作とか
ファンへの対応とかしっかりしてて
クオリティの高いマスコットだな、
ってのはいつも感じてます![]()
コンサドーレの場合、マスコットと
「コンサドールズ」を長い間ずっと
同じプロデューサーが統括してますが、
このコンサドールズもすごくレベルが高い。
お客さんから見えない舞台裏でも
常にピシッ!としてて、
いつも感心してました。
そのプロデューサーの先生とも
長い間お付き合いさせていただいてますが、
しっかりした信念を持った指導者って
ホント大事!って思いますね![]()
そのコンサドーレ、残念ながら
来シーズンはJ2降格ということですが、
また頑張って北海道を一緒に
盛り上げていってほしいですね。
「4プロ」ではフットサルの
現在チームの存続が危ぶまれてたり、
一方4プロには含まれてないけど
いろいろ頑張ってたり。
野球だけじゃなく、
北海道のいろんなスポーツが
盛り上がってほしいな、と思います。
本文にも書いてますが、
子ども達がいろんなスポーツを体験する
「マルチスポーツ」の重要性は
時代とともに一層高まってますからね![]()
このコラムから17年経って、
Jリーグのマスコットも
認知度は随分高まってるな、と感じます。
彼らの仕事環境が改善してるかどうかの
内部事情はよく分かりませんが、
注目してるマスコットは何人かいますよ![]()
ちなみに本文中に出てくる
「パルちゃん」については、この後
また別の回(#61)で取り上げます!