昨日の話の続きになります。
今、酪農がスゴく大変だというニュースを
新聞記事とかで目にすることが多くて、
このテーマは一度しっかり取材して
酪農家さんの声を聞きたい、と思ってました。
高橋牧場さんを訪れたのもそれが一番の目的。
酪農体験の後、お話聞かせていただきました👂
ちょっとカタい話になるかもですが💦
出来るだけわかりやすく解説するので
どうぞお付き合いのほどを![]()
お相手は高橋牧場代表の高橋 伸悟さん(左)と
中標津農協広報の河西 陽平さん(右)。
よろしくお願いします!
まず高橋牧場についてですが、
ここで飼育されてる牛は全部で400頭ちょっと🐄
「経産牛」(けいさんぎゅう)と呼ばれる、
子どもを産んで搾乳の出来る牛が約半分、
残りは「哺育牛」や「育成牛」という構成です。
400頭ってかなりの数だけど、
この辺の酪農家さんの中では規模的には
「中の上」くらいになるそうですね😲
で、その200頭以上の牛なんですが、
毎日朝夕1回ずつの乳搾り(搾乳)が必要。
所要時間は朝が3時間半、夕方3時間ほど。
朝は5時から搾乳が始まって、
夕方の搾乳が終わるのは19時頃。
牧場の朝が早いのはみんな知ってると思うけど、
夜もまあまあ遅い時間まで作業あるんですね💦
当然お乳には休みがないので、この作業を
年中無休で毎日する必要がある訳です。
現在33歳とまだ若い高橋さんですが、
去年末に「3代目」として牧場を継いだばかり。
家族だけで牧場を経営するのは大変なので、
農業法人として現在6名の従業員を雇って
牧場を経営してるんですが、
従業員は週1で休みは取れるものの
高橋さんご本人は何か特別ない限りは
年中無休でお仕事されてるそうですよ![]()
さてそんな高橋さんに聞きます。
いま酪農家さん達は「三重苦」を抱えてる
と言われますが、詳しく教えてもらえますか?
現在日本の酪農家を悩ませる三重苦とは、
①飼料価格の高騰
②仔牛の値段暴落
③生乳の需要減
の3つ。
解説しますね![]()
まず「飼料価格の高騰」。
つまり、牛のエサ代が値上がりしています。
一番の原因はウクライナ問題の影響ですね。
去年春くらいから値が上がり始めて、
以前と比べたら倍近くの値段になってるらしい💦
今まで乳牛の餌は「濃厚飼料」と言って、
牛の乳の出を良くすることを第一に考えた
輸入物のコーンなどを大量に入れた飼料に
ほぼ頼ってたらしいんですが、
それが倍近い値段になっている、と。
「じゃあ国産の飼料に変えれば?」
なんていう簡単な話じゃトーゼンなくて、
国産飼料で全部の量をまかなうのは
量的にも餌作りのシステム的にも
かなり難しい話なんだそうです![]()
次に「仔牛の値段暴落」。
牧場では乳を出さない雄の牛は
肉牛として売る訳なんですけど、相場が
去年の夏くらいからガタ落ちしてるそうです。
どのくらいかと言うと、以前は
ホルスタインの雄で1頭平均
12~13万円くらいで売れてたのが
今は約6分の1の2万円くらい💦
普通大きな牛の方が高値が付くんですが、
以前は小さく生まれた牛でもそれなりに
買ってもらえたそうなんですね。
でも今は、小ぶりの牛は見向きもされない。
小さい牛は市場で1頭¥110とかで取引されて
「缶ジュース」なんて呼ばれたりもするそうで😢
それでも売れればまだ良い方で、
売れない牛は薬殺処分するしかない💦
原因はやっぱり飼料代の高騰と、
円安やコロナ禍で消費が落ちて
市場が飽和状態なのが影響してるらしいです。
そしてもうひとつの「生乳の需要減」。
原因はコロナの影響が大きいですね。
コロナで学校が休校になって、
学校給食に使われてた牛乳の行き場が
なくなった、って話は皆さんも
耳にしたことあるかもしれないけど、
もうひとつ「脱脂粉乳」も影響してるそうで。
コロナ禍で、「インバウンド」と呼ばれる
海外からの観光客が激減したのは
皆さんも知ってますよね?
その中で多数を占めてた中国方面からの観光客が
お土産にお菓子を沢山買ってたんだけど、
その中に脱脂粉乳が結構使われてたそうなんです。
で、その消費が落ちて脱脂粉乳の在庫が
増えてしまった、と。
コロナ禍前は学校が休みになって
需要と供給のバランスが崩れた期間中に、
余った分を脱脂粉乳などの加工用に回して
安定させてきたんだけど、それが崩れて
在庫が積み上がってきてるそうなんです。
需要が減って生乳が余ってしまうと、
最悪廃棄処分をしなくちゃならない💦
これは酪農家さんにとっては、
身を切られるように辛いこと![]()
高橋牧場では1日平均6~6.5トンの
生乳を出荷してるそうで、
中標津では今のところ廃棄の予定はないけど
今後どうなっていくかはわからないそうです。
…以上、「三重苦」について
分かりやすく説明したつもりだけど、
ちゃんと伝わったかな?![]()
今はコロナもだいぶ落ち着いてきて、
だんだん以前の状況には戻って来るだろうけど、
「戻って安心」じゃなくて
いつかまたこういう状況になっても
大丈夫なようにするには、
一体どうしたら良いんでしょうか?
やっぱり最終的に一番お願いしたいのは、
「牛乳を飲んでもらいたい」
ってことなんですよね。
けど、「酪農家さんが可哀想だから
牛乳を飲んでください」じゃなくて、
どうやったら牛乳の魅力とか効果を
伝えていくのかが重要なんじゃないかと![]()
牛乳はジュースとかと違って
子ども達の成長を補助するとか
大人になっても骨を丈夫にするとか
身体のために良い飲み物だ、ってことは
知ってる人多いですよね。
そういう知識であったり、
牛乳を使った美味しいレシピを紹介するとか、
そういう食育活動も重要になってくる。
牛乳苦手な方も少なくないと思うけど、
その場合は代わりにヨーグルトやチーズとか
加工品でも栄養吸収出来ますよ、
消費の助けになりますよ、っていうことを
もっとみんなにPRしていくことが必要ですね。
僕もこれから先、何かこういう活動で
少しでも貢献出来るようにしたいな![]()
…ちょっと難しい話になっちゃいました💦
ココまでみんな読んでくれてますか?![]()
最後に、高橋さんに聞きました。
決して楽な仕事じゃないと思うし
いろいろ大変な状況だと思うけど、
そんな中で感じる「喜び」って何でしょうか?
確かに仕事は年中無休で
毎日同じ作業の繰り返しではあるけど、
それでも毎日何かしらの変化はあるので
高橋さんはそれを楽しみながら
日々の仕事に臨んでるとのこと。
この地区の酪農家さん達は結束力が強くて
皆仲も良いんで、みんなで集まって
喋ったり情報交換して影響し合いながら、
そして家族や従業員の皆さんとも
ワイワイやりながら…![]()
酪農の仕事は5月~12月頃は忙しいけど、
1~4月くらいの冬季間は少し余裕があるんで、
朝夕の仕事の合間にスノーモービルなどの
趣味を楽しむ時間に充ててるそうですよ♪
大変な仕事だと思うけど、
豊かな食生活を守るために欠かせない存在。
これからも良い仕事を続けて、
何とかこの難局を乗り切ってもらえるよう
心から応援します!![]()
リスペクト!