さて今日はB・Bコラムをお届け。
地方球場のお話になります。
それではどうぞ!
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#7 地方球場の魅力
(2004年7月4日)
長いシーズンの中で僕が密かに楽しみにしてることの一つに、地方遠征があります。皆さんもご存知の通り、大体どのチームも年に2~3回ぐらいは地方球場で主催ゲームを行いますよね?いつも使い慣れたホームグラウンドを飛び出して他の土地で試合するのって、結構楽しいんですよ。今年は函館で2試合、旭川で1試合の地方主催試合に行って来ました!(東京ドームは去年までの本拠地だし、「常打ち球場」というイメージが強いので、個人的には通常のホームゲームと同じ位置で考えています)そこで今回は、僕的に感じる「地方球場の試合の魅力」についてお話ししようと思います(「地方」という言葉はあくまで通常のホームグラウンドと区別するために使っているのであって、決して差別的な意味合いはありませんのでご了承ください)。
初めて訪れる地方球場でまず最初に僕がするのは、球場の造りをチェックする事。特にスタンドの構造や、フェンスの高さを良く見ておきます。スタンドに出てお客さんにグリーティングする時、どう回ったら一番効率良く沢山のファンとふれ合えるかとか考えますね。それから、地方球場は通路が狭いことがよくあるので、ここ通って後ろのお客さんの邪魔になんないかな~?とか。
フェンスの高さをチェックするのには、大きな理由があります。僕らマスコットにとって、グラウンドからフェンス越しにお客さんとふれ合う場所があるかどうかって、すごく重要なことなんですよ。札幌ドームは確かに現代的で美しいスタジアムだけど、グラウンドに立つと、フェンスが山のように高くそびえ立ってる。内外野どこをとっても、フェンス越しにお客さんとふれ合える場所が全くないし、スタンドのお客さんとの距離がものすごく遠く感じるんです。僕が試合前にスタンドのお客さんとよくキャッチボールしてるのは、そういう中でどうやってお客さんとのやりとりが出来るのかを考えた末の苦肉の策なんですけどね。その点函館や旭川は、外野フェンスが低かったから楽でしたよ。ここぞとばかり、調子に乗ってフェンスの上によじ登ったりしてましたし(笑)。地方球場は一般的にファウルグラウンドも狭いことが多いので、良い意味でグラウンドとスタンドの距離が近いですね。
それから、地方球場の一番の魅力は屋外&天然芝!やっぱり野球の原点はコレですよねー。今年は函館の2日目を除いて天気は今イチだったんだけど、晴れた日のデーゲームって気分爽快ですよ!僕は今までアメリカのメジャーやマイナーの球場も色々と見たことありますけど、球場に入った時のあの芝生の香りと鮮やかな緑、大好きです。バク転する時も、天然芝の方が柔かくて跳びやすいんですよ。但し雨とかで芝が濡れてると、足滑りそうで恐いんですけど…まぁその分スライディングするとよく滑るんで、ユニフォームに芝の緑をベットリつけながらヘッドスライディングしまくってましたが(笑)。
地方球場でのお客さんの反応って、独特のものがあって興味深いんです。最初試合前に球場の外でグリーティングしてると、みんな恥ずかしがってか今イチ反応が鈍い。でも、試合開始前にグラウンドでバク転とかのパフォーマンスをすると、いつにも増して物凄く盛り上がるんです。やっぱり滅多に見られないものだからかな?
マスコットとしては、自分のパフォーマンスひとつで球場全体が盛り上がったら、これほどやり甲斐を感じる時はないですよ。ちょっと語弊があるかもしれないけど、きっとみんなそういうものを生で見る機会に飢えてるんだろうな、と感じます。プロの選手と僕のパフォーマンスを並べて語るのは失礼かもしれないけど、せっかくフランチャイズを移転して「北海道」日本ハムファイターズを名乗ってるんだから、北海道中の出来るだけ沢山の人達に、一度球場に来てTV観戦では分からないプロ野球の「生」の面白さを味わってほしいと思いますね。
それにしても、北海道は広い。今年のゴールデンウィークに、ちょっと道東の方まで一人旅をしてきたんですよ。その途中、小さな町のドライブインに立ち寄って、そこのご主人に話を聞いたんですが、そこから札幌までは車で7時間もかかるとのこと。今年は函館・旭川の計3試合だけだったけど、道内には帯広や釧路にも一軍の興行の出来る球場があります。僕も旅の途中で両球場を見て来たけど、どちらも立派な球場でしたよ。札幌まで行きたくても遠くてなかなか行けないファンのことを考えると、個人的にはもっとたくさん地方で試合をしたいです。でも、そこで出て来るのがナイター設備の問題。函館・旭川・帯広・釧路とも、残念ながらナイター設備がないんですね。だからそこで試合をするとなると、必然的に土日のデーゲームを組まざるをえない。観客の多く集まる土日に、あえてキャパの少ない地方球場で試合を組むというのは、経営の面から見ればデメリットになってしまう訳です。
まぁその辺については色々と難しい問題もあるけれど、今年の函館・旭川の盛り上がりは凄かった。天気の悪かった函館の初戦を除いては超満員だったし、球場全体が「ホームチーム」ファイターズを応援してくれているという雰囲気が伝わってきました。地元札幌ドームでも、最近はどんどんホーム側が盛り上がってきているのを実感しています。勿論、まだ移転初年度の物珍しさもあるかもしれないから、これで勘違いせずに僕達はどんどん努力を続けていかなければならない。
今は合併問題などで、来シーズンパ・リーグ自体どうなるのかさえ良く分からない状況ですが、せっかく迎え入れてくれた北海道というフランチャイズを大切にして、もっともっと沢山のファン、色々な地域のファンに生のプロ野球を見てもらうことこそが、今僕達がしなくてはいけないのではないでしょうか。最後は随分と大きな話になっちゃったけど、函館や旭川で試合をしながらこんなことを考えていました。今年の地方主催試合はもうないですが、来年はもっと沢山の球場でファンの皆さんとお会い出来ればいいですね!
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これ読むと、初年度の道内ファンの方々の
熱気を思い出しますね。
函館や旭川に行った時、スタンドからの
「待ってました!」感を強く感じてました
バク転した時のリアクションとかは
みんな年々慣れてったみたいだけど(笑)
やっぱり年に一度の地方遠征は
そのエリアに住んでる方々の
お祭りみたいな存在になってるんだな、
っていうのは今でも感じます。
本文中に写真何枚か挟みましたけど、
地方球場行った時は結構思い切ったこと
いろいろしてましたね(笑)。
よくやってたのはコレ↓この後更にポールをよじ登ってました
気が付くとユニフォームに
ポールの黄色いペンキの跡が付いてたり
逆に言えば、普段札幌ドームで出来ないことを
ここぞとばかりにやってた感じかな?
札幌ドームはその後フィールドシートが出来て
そこではお客さんとフェンス越しの
やり取りが出来るようになったけど、
グラウンド上でのお客さんとの距離感は
どうしようもなかったですからねぇ…💦
エスコンフィールドでは見た感じ
フェンス越しの直接的なふれ合いは
フィールドシートのみっぽいけど、
内外野のフェンスがずっと低い分
グラウンドからの距離感はだいぶ
近く感じると思いますよ
ちなみに本文で書いた「天然芝の香り」は
エスコンではメチャ感じられるので、
球場に来たらぜひ皆さんにも
その辺存分に味わってほしいですね
このコラムの後、月日を重ねて
帯広・釧路でも試合するようになったし、
旭川にはナイター設備も付きました。
でも皆さんご存知の通り、
今年地方開催の試合は組まれていません😢
今年は新球場元年ということで
そこに注力したいという球団の意図も分かるし、
一方では年に一度の楽しみがなくなった…
という地方のファンの方々の感想も
時々手紙とかでいただいたりするんで
痛いほどよく分かります。
来年以降どうするのかは分からないけど、
広い北海道で北広島まで
行きたくてもなかなか行けない人達は
たくさんいますからね。
そういう人達にも手を伸ばしてくのが
今の僕の大事な役割なんじゃないかな、
と思ってます