B・Bコラム#45 カビーと過ごす時間

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気付いたら世間はGWでしたね…。

ほぼ隔離状態なんで、TVニュース見て

「…あ、そう言えば」って感じでした(笑)。

そんなワケで通常運行ですいませんが💦

今日もまたコラムの再掲を

今回はカビーについての話です!

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#45 カビーと過ごす時間

(2007年9月21日)

先日、鎌ケ谷に行って来ました。意外かもしれないけど、鎌ケ谷のイースタンリーグの試合で弟・カビーと共演するのは、これが初めてだったんです。カビー登場後も、鎌ケ谷にはファームのファン感謝デーとかオープン戦で何度か行ってるんで、何だかそんな感じはしなかったんですけどね。

鎌ケ谷の雰囲気は、前に来た時と比べてガラリと変わっていました。もちろん良い方に、です。三連休と重なったこともあるけど、観衆は連日の1,000人超え(ファームとしてはかなりの入りです)。試合前・イニング間・試合後と、ファンをグラウンドに招き入れて様々なアトラクションが盛り込まれて、スタンドのファンが一体になって楽しんでいる。イベント内容といい、球場コンコースなんかの雰囲気といい、全てに手作り感覚があって、ほのぼのとしたイイ空気を醸し出してるんです。 僕は元々、鎌ケ谷のあののどかな雰囲気とお客さんとの「近さ」が大好きだったんですけど、それに「楽しさ」も加わった。暑さはまだまだ厳しかったけど、スゴく良い時間を過ごさせてもらいました。

 

8月に夕張のファームの試合で一緒にやった時からずっと思ってたんだけど、カビーは本当によくやってくれてますね。鎌ケ谷はデーゲームしかないんで、今年みたいな猛暑の中で1試合こなすだけでもかなりの重労働なわけです。だけど彼は毎日、試合後も暗くなるまで長ーい時間ファンのお見送りをして…でもそれだけじゃないんですよ。鎌ケ谷で毎試合行われてるいろんなアトラクションは、実はカビーと、「カビーのお兄さん」として鎌ケ谷のファンにはすっかりおなじみになった伊藤君の2人でほとんど考えてるんです。毎試合ファンのお見送りを終えた後、2人で夜遅くまでアイデアを出し合ったり、翌日の準備をしたりしてね。僕は正直、カビーがここまで頑張り屋だとは思わなかった。兄貴の僕が言うのも変だけど、ホント尊敬に値しますよ。鎌ケ谷を訪れるファンには、そういったカビーの想いは自然に伝わりますよね。愛されるのは当然のことです。カビーを鎌ケ谷に呼んで本当に良かった──僕はつくづくそう思ってます。

鎌ケ谷で過ごした限られた時間の中、僕らいろんな話をしました。鎌ケ谷の近況なんかももちろん聞きましたし、僕も今回はいくつかアイデアを出させてもらったんだけど、明日の試合はどんなイベントにしようか、どう展開したらお客さんに一番「伝わるか」などなど…途中何度も煮詰まって、ウンウン頭を悩ませたりしてるうち、あっと言う間に時間が過ぎて夜は更けていきました…。

 

しかしカビーを見るにつけ、マスコットにとって一番大切なものは何か、ってことを再認識させられますね。あれだけのファンに対する想いと愛らしい仕草を目にすれば、ファンとして心惹かれるのは当たり前です。バク転できるかどうかなんて、大して重要な要素じゃないんだな、と。昔からの「常連さん」にとっても、最近鎌ケ谷に通うようになったファンにとっても、カビーはみんなにとっての「孫」であったり「弟」であったり…カビーを中心として、鎌ケ谷を訪れるファン全体の中に一つの「ファミリー」みたいな絆が築かれてきているのを強く感じました。僕は以前カビーがデビューした頃、このコラムで「カビーにはファンと距離の近い関係を築き上げてほしい」と書きましたけど、正にその理想に向かって正しく進んでくれていますね。

一軍の試合では、特に去年あたりから、観客動員が目に見えて増えてきています。それは当然喜ばしいことなんだけど、一人でも多くのファンとふれ合いたいと思うと、皮肉なことにファン一人一人との「絆」はどうしても薄くなってきてしまう。その辺が、最近僕の一番の悩みです。だから、鎌ケ谷に出かけてファンとじっくり「遊べる」のが、とっても新鮮に感じるんですよ。例えば札幌ドームで僕が外野の応援席なんかに顔を出したら、物凄い人だかりになって応援どころの騒ぎじゃなくなっちゃう。でも、鎌ケ谷では試合中カビーと2人でスタンドの応援団の所に行って、みんなと一緒に応援してましたからね(笑)。それが違和感なく自然に溶け込んじゃってる画ってのが、また何とも言えない

僕が普段札幌ドームでやっているファンサービスやパフォーマンスのあり方と、カビーの取っているスタイルとでは、色々と違いがあります。それは、ファンの規模や球場の構造に大きな違いがあるので、ある意味仕方のないこと。札幌ドームの時と同じやり方で鎌ケ谷でファンに接したら、鎌ケ谷のファンは物足りなく感じるだろうし、鎌ケ谷と同じスタイルでグラウンドからアピールしても、ドームのスタンド全体に届かないかもしれない。それは、お互いが自分の置かれている立場で一番引き立つ方法を模索した結果、ということです。でも、僕ら兄弟には、スタイルは違えど決して変わらない「共通点」がある。それは、ファンに対する「ハート」──どうすればファンが一番喜んでくれるのか、どうしたら心が伝わるのか──常にそれを探している、その点で僕らは通じ合っていると思っています。僕もグリーティング時間をかなり長く取ってるけど、僕とカビーを合わせたら、ファイターズは間違いなく日本で、いや世界で一番長くマスコットがファンと接しているチームになるはずですよ。

 

当初僕は、カビーにも少しずつ一軍の試合を経験してもらって、将来的には選手のように一軍に完全昇格、ってストーリーがいいのかな…なんて考えていました。でも、もはやカビーは鎌ケ谷にとって欠かせない存在になってしまってるんですよね。首都圏のファンの多くの心の中には、球団が北海道に移転した後の喪失感がきっと今でも大きく残っているでしょう。でも、カビーはそんな首都圏ファンの心をつなぎ止めてくれているオアシスのような存在になってきているのかもしれない。カビーはこのまま、ずっと鎌ケ谷に根を下ろしてやっていくのが自然なんじゃないか、最近はそう思うようになってきましたね。それがカビー本人の希望でもあるようですし…。

北海道のファンからは、「カビーをもっと北海道に連れて来て」という要望を聞く事も相変わらずあります。その気持ちはわかるけど、まずは皆さん、鎌ケ谷にぜひ一度行ってみてください。カビーが一番輝いている場所は、他でもなく鎌ケ谷です!北海道から行くのは大変だし、球場だって決して便利な場所にあるとは言えないけれど、本当に行って良かったと思ってもらえることだけは絶対に保障しますから

 

しかし、ここまでさんざんカビーをほめてきましたけど、僕ももちろん負けちゃいられない。一軍ではたくさんのファンを相手にしなければならない一方、それだけ多くのスタッフにお膳立てしてもらえる部分も多々ありますから、一人であれこれこなしているカビーを見るたび「僕は楽してるんじゃないか?」「このままでいいんだろうか?」ってまた悩んじゃうんですよねぇ最近カビーもちょっと生意気盛りになってきたんで(笑)、兄の威厳を保つためにもここらで気を引き締め直さなければ──そんなことを思いながら、僕は鎌ケ谷を後にしたのでした。

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この年は8月にも

夕張でファームの試合があって

そこでもカビーとは共演してるんですが、

その時の印象も強く残ってますね~。 で、加えて翌9月の鎌ケ谷出張で

改めてカビーの姿に感心しての

この記事になったんだと記憶してます。

 

本文中でも触れてますが、

当時「カビーのお兄さん」だった伊藤くん

とても優秀な人材でしたね

ある意味ブッ飛んだカビーの発想を

ファンに伝わるように上手く整理する。

バランスの取れたコンビだな、と

思いながら見てました。

加えて、ファンの気持ちに寄り添える

ハートを持った人だな、とも思ってました。

彼はこの後ほどなくして

球団を離れてしまったけど、

本人も意欲的にこの仕事に取り組んでただけに

残念でならなかったですね…

 

鎌ケ谷はもう6年くらい行ってないけど

今は鎌ケ谷もファン層は

だいぶ入れ替わっちゃってるのかなぁ?

時間とともに人の移り変わりが

あるのは仕方ないことだけど、

あの頃感じた「近さ」「楽しさ」

そして熱量は、これからもずっと

変わらないままであってほしいな、と願います。