雨竜米物語⑦~ライスコンビナート編~

カテゴリ/雨竜町

春先から追っかけてきた雨竜の米作りも

いよいよ佳境を迎えまして、

前回の稲刈りの様子に引き続き、

今回は収穫されたお米の「その後」について

お話ししたいと思います

 

昨日のブログで、収穫されたお米は

各農家さんで「半乾」(はんかん)といって

一旦乾燥されて農協施設へ運び込まれる、

というお話をしました。

その行先がコチラになります↓ライスコンビナート「暑寒の塔」。

雨竜の道の駅すぐ横に建つ、巨大な施設です。

米どころの地方の町に行くと、

時々こういう大きな建物目にしません?

では一体どんな施設なのか?

詳しいお話を伺いました。お相手は、JAきたそらち雨竜支所

営農課課長の川田博行さん。

 

この「暑寒の塔」の基本的な役割ですが、

雨竜町内の各農家が収穫した米を引き取って

更に「本乾燥」をかけ、玄米にして選別して

保管するところまでの作業を担っています。こちらが各農家から搬入されたお米のコンテナ。

コンテナ1個で約1.3トンあるそうです稲刈りの季節、このコンテナが毎日

次々と運び込まれて来ます この時点でのお米はこんな感じ。

まだ殻を剥いてない「籾(もみ)」の状態です。

稲の籾の水分は元々約25%だったのを、

各農家の乾燥機で大体17%くらいまで

「半乾」させると昨日お話ししましたが、

見た目は稲刈り直後のお米とほぼ変わらない。で、まずこの「荷受けホッパー」という所に…コンテナの中の籾をドサッと投入!ホッパーの底には穴が開いてますがその下にあるコンベアーで

この投入された籾が運ばれて行って

品種などによってグループ分けされた上で、

長期保管に耐えられるように

最終的に水分量14.5%くらいまで

「仕上げ乾燥」をして保管されるのです

 

…あ、余談ですが、写真の僕の髪の毛が

黒だったりオレンジだったりするのは、

2回に分けて取材したからなので

お気になさらず…

 

で、お米はここまで

殻の付いた「籾」の状態ですが、

乾燥し終わった籾は「籾すり」と言って

外側の籾殻を取り除いて玄米にする行程へ。↑コチラがその作業をする「籾摺機」

ゴムの付いたロールを回転させて

米を挟み込み、殻を剥いてくらしいですこうして籾摺りした「粗玄米」ですが、

その後4種類に選別されます。↑写真右側がその4種類。

まず、米粒をふるいにかけて大きさで選別します。

最初、大き目のふるいで残った

粒の大きな米が「製品」(左下)に。

そこから外れた小さめの米をもう一度

ちょっと小さいふるいにかけて

残った物が「中米」(ちゅうまい)(右上)。そこにも外れた一番小粒な物が

「屑米」(くずまい)(右下)になるんだけど、

更にそれらの中から、粒が青かったり

虫食いのある米は排除されて

「色下」(いろした)(左上)という種類に

分別されます。ちなみにこの青い粒とかを排除する作業は↑コチラの「色彩選別機」という

機械を使うんだとか。この黄色い部分がカメラらしいんだけど、

コレで色の付いている「色下」だけ判別して

エアではじき飛ばすらしい

10年くらい前はカメラも白黒で、

色の濃淡で識別してたらしいけど、

今は進化してカメラもフルカラー

この最新式の色彩選別機は1台

ン千万円するらしいけど、それだけの仕事は

キッチリしてくれるそうですよちなみに僕らが普通お店で一般的に買うのは、

この4種のうち「製品」だけを精米したもの。

でもその他の3種も捨てる部分は一切なくて、

まず粒小さめの「中米」は、低価格米として

業者さんとかが購入するケースが多い。

次にもっと小さい「屑米」は、

焼酎や味噌の原料とか

せんべいなどの米菓に使われるそうです。

そして残った青っぽい「色下」。

これは精米して食べても

ボソボソして食感良くないらしいけど、

鳥のエサなどとして結構需要あるらしいですよ

更に剥いた籾殻も畑の肥料にしたり、

牛や馬の寝床の材料としても重宝されてるそうです。

こうして話を聞くと、お米ってどの部分も

一切ムダになってないんですね…

 

この「暑寒の塔」では

米を一時的に貯留するためのサイロが

1本で480トン×12本ありますが、その管理はこの「中央制御盤」

ほぼ全てやってるそうです。↑このホワイトボードに書いてあるのが

各サイロの図ってことになりますね。

ところで、僕ずーっと疑問に思ってたんだけど

ライスコンビナートってナンでみんな

こんな「高い」建物なんですか?川田さんがメチャクチャ分かりやすく

説明してくれました

サイロ自体が高いのは、まず

容量を大きくするためという理由がひとつ。それともう一つ、穀物を選別する行程では

機械の構造上、基本的に全て

「上から下に落とす」という作業の

繰り返しになるので、これだけの

高低差が必要になってくるそうなんです。

 

「せっかくなんで上登ってみますか?」

という期待通りのお言葉をいただき…上りました(笑)。建物の中はお米を運ぶパイプや

エレベーターなどの機械でいっぱい

頭ぶつけないように慎重に移動しますかなり長いこと階段を上って…屋上?に到着!髙さ40mくらいって言ったかな?

メチャ高い

こないだの試合で上ったサブスコと

同じくらい足がすくみました💦でもココから眺める田園風景は

なかなか格別ですね

フツー上れない場所なんで特に

 

最後、こうして選別されたお米(玄米)が

保管されている低温倉庫の中を

見せていただきました👀気温15℃、湿度50~60%に保たれた倉庫で

たくさんのお米が出荷を待ってます。

ココで保管されているのは、

ななつぼし・ゆめぴりか・

きらら397・えみまるの4品種。

決して「売れ残ってる」お米ではなく、

既に買い手の付いたお米を引き取りまで

ここで保管している状況なんだそうです。この緑の大きな袋は「フレコン」といって

1袋の中身が1,020㎏、つまり約1トン。一方こちらの紙袋は1袋30㎏。

中身は一緒だけど、出荷後に

精米する時の作業効率の関係で

フレコンは大規模業者さん、

紙袋は小規模の業者さん中心に

需要があるそうですよ

 

こうして収穫したお米の選別などが行われる

ライスコンビナート。

こうした作業は基本的に

9月中旬~11月中旬にかけて行われるそうですが、

実は半年後まで米を籾のままサイロで保管して

春以降の3月~7月頭くらいにかけて

玄米にする作業もしてるそうです

お米は年中切らせてはいけない食料。

ただ、一度玄米にしてしまうと

時間と共にどうしても劣化しちゃうんだけど、

籾の状態のまま保管すれば

半年経っても劣化が圧倒的に少ないらしい。

サイロは魔法瓶のような構造で、

米がパンパンに入ってる状態で

冬の冷気を取り入れてフタをすることによって

籾の劣化を防いでるらしいですよ。

こうして、夏にかけて出荷されるお米が

今摺米(いまずりまい)と呼ばれています。

 

だいぶ長くなっちゃったけど、

僕にとってもスゴく勉強になる取材でした

川田さん、スゴく分かりやすい説明

ありがとうございました!

 

明日からはいよいよ中標津町での

長期滞在へ出発!

しばらく中標津の話メインになりまーす!