【EZOlogical】ヒグマとの共生・その3。

カテゴリ/SC活動

ではヒグマの話、後編まいります。

あと2回ほどお付き合いください

 

さて、前編ではクマの個体数や

捕獲対策の変化についてお話ししました。

ただ、単にヒグマを捕獲すると言っても

今そこにはまた別の問題があるのを

皆さんご存知でしょうか?実は近年、クマを撃つハンターの減少が

問題になってるんですよね。

これにはいくつかの理由があるんで、

説明していただきました。まず挙げられるのが、ハンターの高齢化

道内で野生動物駆除の対象と言ったら

ヒグマエゾシカがまず挙げられますが、

シカの捕獲とクマの捕獲とでは

大きな違いがあります。

シカは仮に撃ち損じたとしても

基本的に人に対しての危害はないけど、

クマの場合はしっかり命中して倒さない限り

常に「逆襲のリスク」と隣り合わせ💦

例え当たったとしても、急所を外したら

逆襲されるリスクが高まりかねません。

そしてクマが市街地に出た場合

状況が更に難しくなって、

万一外してクマが逃げた先に人家があると

ハンター自身だけでなく逃げた先の

人の生命にも影響を及ぼしかねない

クマ撃ちはそういった危険性を伴うため、

それなりの経験や技術が

必要になってくる訳なんですね。

なので、たくさんクマを捕りたいから

来年からハンターを増やそう!と言っても、

人材の育成はそうすぐにはできない。そして現状それを担っているのが

主に民間人や団体なのは知ってました?

よくクマ駆除のニュースで名前の出てくる

「猟友会」の方々は、実質的に

道や市町村の職員という訳ではない。

もし撃ち損じて何かあった場合

保障や責任問題が生じるので、

個人のハンターが請け負うには

あまりにも大きな責任が伴うのです。

そんな状況に加えて、最近聞くのが

クマを駆除した自治体やハンターに対して

寄せられる数々のクレーム。

これに関しては、ハンターの側からの

切実な声を取り上げた記事があったので、

よろしければご一読ください↓

クレーマーと保護団体に告ぐ!最凶ヒグマ「OSO18」ハンターの怒りの告白「人間とクマの共存は100%不可能だ」

 

ちなみにハンターが減少してるのには、

別な理由も一因としてあるみたいです。それは、最近はクマを捕っても

あまりお金にならなくなった、という点。

昔は、捕獲したクマの胃は漢方薬として

高価で取引されてたんだけど、

最近はその流通経路が

なくなってしまったそうなんですよね。

こうして見返りも少なく、

誹謗中傷も受ける可能性も覚悟の上で

命がけのリスクを冒してでも

新たにハンターを目指そうという

若い人がなかなか出てこないのも

必然と言えば必然ですよね…💦

 

本来、こういった問題はもっと

国とか北海道など「行政」の方で

対応すべき課題なんだけど、

最近はそういった動きも

いくつか耳にすることがあります。まずは「指定管理鳥獣」について。

「指定管理鳥獣」とは、

全国的に数がスゴく増えて

生活環境とか農作物などに

深刻な被害を及ぼす可能性のある

野生動物を指定して

その個体数を集中的に管理していく制度。

これまで指定されていたのは

ニホンジカとイノシシだけだったけど、

ここに4月以降、ヒグマとツキノワグマも

指定される方向で検討が進んでますね。

これに指定されると

捕獲に対する補助金が出ることになるんで

ハンターの捕獲意欲を高めるし、

調査費用や人材育成などについても

国が支援していくことになります。

ただ、クマの生息数は地域で差があって

北海道や東北地方では被害が多い一方

九州ではクマは既に絶滅。

四国でも絶滅しかけてる状況です。

なので地域によって対象から外すとか、

減りすぎていないかをきちんと

モニタリングする体制を取るなど

「クマ向けな運用」ができるように

柔軟に対応を進めてく方向のようですね。

 

あともう一点、最近報道されてるのが

ハーフライフル規制の問題。簡単に説明すると、猟銃は威力の強い順に

ライフル銃→散弾銃→空気銃

3種類あるんだけど、

威力の強いライフル銃は

狩猟免許を取って10年以上の人でないと

原則として持てません。

それに対してライフルと散弾銃の

中間に位置するハーフライフルは、

免許取得後すぐ所持が可能なので

クマやシカを撃つ新人のハンターは

これを持つ人が多い。

散弾銃は命中率が低くなるし、

かなり至近距離で撃たないといけないので

クマ撃ちには向いてないんです。

ところが、このハーフライフルも

ライフル同様10年経過しないと

所持できないように

規制が強まる見通しなんですね。そんなワケで、ハーフライフルの規制は

新人のハンター育成には障害となる。

そこで道内から大きな反対の声が上がって、

結果、都道府県によっては必要に応じて

特例で所持が認められるなど

規制が見直しされる方向だと

先日報道されてました

 

…というコトで今回は

クマの捕獲を巡る課題について説明しました。

今回のキーワードは「ハンター育成」

「指定管理鳥獣」「ハーフライフル」の3つ。

また長くなっちゃったけど💦

皆さんの頭の片隅にちょこっとだけでも

置いといてもらえればと思います!

コメント

4 件のコメント

  • くま牧場長 より:

    こんにちは。くまハンター、怖すぎてやりたくないのわかる。絶対手震えるわ。当たれば即死するような便利なのはないのかな。それとやっぱりくま捕獲したら批判の声あるのか。そういう声あるのは聞いたことあった。仲良くできないかなと思ったけど共存は無理なのか。でも九州ってくま絶滅してたんやね。熊本なんて地名あるくらいだしいるもんだと思ってた。

  • へいちゃん より:

    ハンター不足はニュース解説記事でも読みました。
    やはり、命の危険や責任が伴う仕事には
    ちゃんとした対価が必要ですよね。
    アシリパさんは「クマには無駄なところがない」とか言ってたけど(^^;)
    流通の経路なんかも増えると良いのかなぁ。
    もちろん行政からの補助も。
    そして、人間の生活圏を守るためにヒグマ(や他の生物)を排除することについて
    よく知らずに感情論だけで批判することは
    控えなきゃいけない、と僕は思ってます。

  • せいら より:

    B・B、お疲れ様です!
    今日は、大谷くんのファイターズ時代の映像があちこちで流れ、B・Bの姿も幾度となく映って、良い休日でしたー😆

    さてさて、今回のブログは(も)物凄く勉強になりましたー。
    ハンター不足の理由や、猟銃の種類になるほど!と思いました。
    4月以降、どうかヒグマが指定されますように🙏

  • 横浜在住、最近野球熱再開した女 より:

    こんな現実があったとは…
    共存という一言をとっても、ハンター側の立場と保護を訴える方の立場とありますね。難しい問題ですね…。
    BBさんのおかげでよく理解できましたが、、、すぐ解決する問題ではなさそうですし、なんとかうまくいってほしいです…。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目となります。